STATEMENT
最近想っていること・・・
40代前半の頃まではあまり関心がなかったのだが、歳を重ねるにつれて、古きモノの美しさを身に沁みて感じるようになった。
「古いけれども美しい」とは、一つの美意識であることに変わりはない。
名跡や古刹を訪れる機会が多くなり、その歴史ある建築や装飾を見ると確かに完璧である、しかしどこかに時間の経年による変化、その内側に潜んでいる素材が正直に表に滲み出てきている。
汚いか、きれいかということになると、確かに少し汚い。けれども美しい。この美しいという感性を大切に思う。
そこに美学・美意識が宿っており、次の創造への一歩となる。
「侘」 ―正直で慎み深く奢らぬ様― 武野紹鴎
伝統とその先の革新へ…
伝統に関しては常に「どうしてなんだろうか」「なぜそうしたのだろうか」という疑問点を持って考え、深堀して探っていかなければ、その本質や根本的な特性を理解することはできないと思っている。
思想の本質を理解できれば新しい創造(=伝統美)へと繋がっていき、やがては新しき“美”が生まれる。
真の本質が分かれば、それ自体を今の生活や仕事に生かし反映させてこそ、伝統という価値が輝き始める。
そこに「型」ができ、やがてまた変化が起こり、そして「型破り」となって、時間と叡智が更に積み重なっていく。
この繰り返しが歴史となる。故に創造が無ければ伝統もあり得ないことになる。
自然への敬愛を表現すべく、時に絢爛に、時に奥ゆかしく。
脈々と続いてきた息づかいに、今の想いをのせ、二度とは訪れないこの一瞬を閉じ込めていく。
『創造の原点』―これこそが伝統の真理、本質に根差していると思っている。
Made in Japan
&
"Hand” made in Japan
時代のテクノロジーを駆使し、古来より伝わる風土の技術を融合させた新たな”価値”の創出、モノづくりを日本の美、美学を下敷きに創造し具現化した新たなる世界を展開していく。
一方で日本のクラフトマンに伝承される”手”の技、その洗練された技巧を圧倒的に美意識を宿らせながら、美しく潤いあるものに仕上げる。
この似て非なる2つのコンセプトから魅力あるモノ、コトあるいは人を独自の目線で追求していく。
1967年愛知県生まれ 1989年京都で着物制作に携わり、キャリアをスタート。
京友禅や西陣織などの伝統的・古典的職人技に興味を持ち、次第にオリジナル作品を作り始める。 染織のみならず、ファッションデザイン、陶芸、ポスター、インテリアデザイン、フォトグラフ、書道などにも活動領域を広げる。
最近では、日本独特のデザインを独自の解釈でアートに昇華させることに注力している。
ARCHIVESExhibitor
Kawai Yoshiro
Born in Aichi, Japan in 1967. He started his career in 1989 in Kyoto, involved in the production of kimonos.He became interested in traditional and classical artisan techniques such as Kyo-Yuzen and Nishijin textiles, and gradually began to create original works.He has expanded his field beyond dyeing and weaving to include fashion design, ceramics, posters, interior design, and calligraphy.Recently, he has been focusing on elevating uniquely Japanese designs into art through his own unique interpretation